イエメンのコーヒー「モカマタリ」は、葡萄や花に例えられる香りと甘みが特徴です。
モカマタリは、他の国とは異なる伝統的な方法で生産されますが、それゆえに欠点も多いコーヒーです。
本記事では、モカマタリの特徴やおすすめを紹介します。
この記事を書いた人:山口 誠一郎
イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋にコラムを掲載。1,000種以上の通販コーヒーをレビュー。
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モカマタリとはイエメンのコーヒー
「モカマタリ」とは、イエメンで栽培されるコーヒーです。
標高1,000m~3,000mの山岳地帯で栽培され、ブドウのような香りと甘みが特徴です。
モカマタリの特徴
モカマタリは、「熟した果実のような味わい」や「ワインのような香り」と表現され、独特の風味があります。
上品な味わいと香りがあるため、「コーヒーの貴婦人」と呼ばれており、日本でも人気があります。
モカマタリはまずい?劣悪と言われる理由
通常、 コーヒーチェリーを乾燥させる際に「パティオ」や「アフリカンベッド」という乾燥場を利用します。
しかし、モカマタリのチェリーを乾燥させる際には、住居の屋根の上で天日干しするのが一般的です。
屋根の上だとコーヒーチェリーを薄く広げて、均一な乾燥状態を保つことができず、発酵やカビが発生します。
そのため、他の産地では不良品として排除されるような豆もモカマタリには含まれます。
これが、モカマタリが劣悪と言われる理由です。
なお、日本では欠点豆を取り除いた状態で販売されることがほとんどです。
モカマタリ独自の風味を生み出す精製方法
収穫したコーヒーチェリーから生豆を取り出す作業を「精製(せいせい)」と言います。
精製方法は、「水洗式」と「非水洗式」の2つに分けられます。
水洗式は味が均一になる、クリアな味になる特徴があります。
一方、非水洗式はコーヒーチェリーがついたまま乾燥させるため、果肉の香りや甘味が豆に移ると言われています。
ただし、水洗式に比べて欠点豆が多くなりやすい側面もあります。
イエメンのような水不足の国では、非水洗式の精製を採用します。
モカマタリは臼で脱穀する
イエメンのコーヒーには長い歴史があり、農家は先祖代々の土地を守り、伝統的な農法を受け継いできました。
イエメンのコーヒーは、水洗いをせずに乾燥させた後、臼で脱穀します。
他の国にはない伝統的な脱穀方法ですが、豆が割れたり欠けたりしやすい難点があります。
モカとは?モカマタリとの違いを解説
「モカ」とはイエメン産とエチオピア産の両方の産地を指した総称です。
イエメン産のコーヒーは「モカマタリ」と呼ばれ、エチオピア産のコーヒーは「モカ・カシダモ」または「モカ・ハラー」と呼ばれます。
そもそもモカとは?
「モカ」はエチオピアやイエメンで生産されるコーヒー豆のことです。
イエメンには「モカ港」と呼ばれる大きな港があります。
かつては隣国エチオピアのコーヒーも、この港から出荷されていたため、エチオピアのコーヒーもモカと呼ばれるようになりました。
モカマタリ・モカハラー・モカシダモの違い
モカマタリ
モカマタリはイエメン産のコーヒーです。
モカハラー
モカハラーの生産地であるハラール地区は、最も古い生産地の一つで、19世紀にはハラール地区のコーヒーは高品質であると評価されていました。
非水洗式で精製され、ブルーベリーのような風味が感じられます。
モカシダモ
シダモ地区では、水洗式と非水洗式のコーヒーが生産されています。
モカシダモは、柑橘系の香りと甘みが特徴です。
モカマタリNo.9とは
モカマタリのNo.9とは、「等級(グレード)」を表しています。
モカマタリのグレードは、豆の欠点の数によって決まります。
- アールマッカ(最上級)
- モカマタリNo.9
- モカマタリNo.8
- モカマタリNo.7
- モカマタリNo.6
モカマタリNo.9はアールマッカの1ランク下ですが、こちらも欠点が少なく高品質とされています。
ただし、モカマタリはサイズが不揃いで全体として他の銘柄より欠点が多いです。
モカマタリアールマッカは最高級品
アールマッカは、大粒で高品質な豆だけを手作業で選別した最高級品です。
フルーティーな香りと甘み、ワインのようなコクが特徴です。
モカマタリの栽培環境は国土のわずか3%しかない
モカマタリコーヒーの生産地であるイエメンの農業は、少々特殊です。
水資源が乏しく、農業に適した土地は国土のわずか3%と言われています。
コーヒーを栽培するためには、川や湖から水路を設け水源を確保するための整備が必要となります。
水はけがよく、保水性の高い地下水脈がある農地に限って、安定的に農業を営むことができるのです。
モカマタリの焙煎は中煎りがおすすめ
モカマタリのフルーティーな香りと甘味は、ハイローストからシティロースト周辺の「中煎り」で楽しむことができます。
酸味が苦手な方は、シティローストのモカマタリがおすすめです。
甘味と酸味を楽しみたい方は、ハイローストのモカマタリを選びましょう。
通販でも買えるおすすめのモカマタリ5選
1.MochaOrigins SULAYMANI MOCHA MATARI
価格 | 1400円 |
内容量 | 100g |
焙煎度合い | 中煎り |
イエメンのコーヒーを専門に扱うショップのモカマタリです。
花のような香りとブドウのような甘味が特徴で、酸味がしっかりと感じられます。
やや浅めの中煎りなので、爽やかなフレーバーが好きな人におすすめです。
2.土居珈琲モカマタリNo.9
価格 | 3602円 |
内容量 | 200g |
焙煎度合い | 選択可能 |
土居珈琲のモカマタリは、ぶどうのようなフルーティーな香りがはっきりと感じられます。
コーヒーが冷めてもフルーティーな香りが感じられるので、ゆっくりと楽しめる一品です。
酸味はかなり控えめで、どなたにも飲みやすいモカマタリです。
3.カルディモカマタリ
価格 | 1998円 |
内容量 | 200g |
焙煎度合い | 浅煎り |
香りは控えめですが、フルーツのような優しい甘みとコクが特徴です。
浅煎りなので酸味はしっかりと感じられますが、突き刺さるような「酸っぱさ」はありません。
リーズナブルなモカマタリを求める人に向いています。
4.モカマタリNO.9コーヒールンバ
価格 | 1620円 |
内容量 | 200g |
焙煎度合い | 中煎り |
マイルドな酸味と、トーストのような香りが特徴です。
突出した味がなく、バランスが良いので、クセのないコーヒーが好きな人に向いています。
5.モカマタリNO.9バニーマタル
価格 | 650円 |
内容量 | 100g |
焙煎度合い | 中煎り |
イエメンのバニーマタル地方のモカマタリ「NO.9」で、ぶどうのような風味と甘みがあります。
しっかりと酸味があるので、爽やかなコーヒーが好きな人向けです。
たまに感じられるスパイシーさが良いアクセントになっています。
コスパの良いモカマタリを探している人におすすめです。
イエメンで飲まれるキシルとは
キシル(カスカラティー)は、コーヒー生産の副産物としてよく知られています。
キシルは、作業工程のなかで取り除かれたコーヒーチェリーの殻を乾燥させたものです。
イエメンではキシルをお茶のように抽出し、砂糖やスパイスを加えて現在でも楽しまれています。
参考文献:coffeereview、martinezfinecoffees
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