ハワイのコナコーヒーは、高品質なコーヒーとして世界に認められています。
地元の人々にも愛される一方で、ハワイ土産としても人気が高いコーヒーです。
コーヒーにあまり詳しくない人でも、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
今回はハワイ産コナコーヒーの特徴や美味しい入れ方、等級、歴史などについて詳しくご紹介します。
この記事を書いた人:山口 誠一郎
イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋にコラムを掲載。1,000種以上の通販コーヒーをレビュー。
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参考文献:hdoa.hawaii.gov、koacoffee、coffeebeancorral、espressocoffeeguide
コナコーヒーの基本情報
コナコーヒーの基本情報を簡単にまとめました。
地域 | アメリカ合衆国ハワイ州 ハワイ島コナ地区 |
味わい・香り | シロップ・蜂蜜・フルーツ・ ヘーゼルナッツ・ミルクチョコレートなど |
コーヒー生産量 | 年間約約230万kg ※世界のアラビカ種生産量の約0.03% |
栽培品種 | アラビカ種100% ・ティピカ、レッドカトゥーラ、ブルボン、パカマラなど |
精製方法 | ウォッシュド(水洗式) |
コナコーヒーとは
コナはハワイ島の西部にある地区の名前です。
フアラライ山とマウナロア山に位置し、コーヒーの栽培に理想的な微気候に恵まれた場所です。
コナ地域には約650の農園があり、ここで生産されたコーヒーの中で、ハワイ農務省の規格に合ったものが「コナコーヒー」として販売されます。
1800年代から小規模な農家によって栽培されてきたコナコーヒーは、甘い香りと爽やかな風味が評価され、高品質なコーヒーとして世界的に有名になりました。
日本では世界三大コーヒーのひとつとして数えられる
ハワイコナ・ブルーマウンテン・キリマンジャロは、風味が優れた高級なコーヒーのブランドとして有名です。
しかし「世界三大コーヒー」に定義があるわけではなく、日本独特の呼び方です。
海外では、マンデリンやモカなど他のコーヒーのほうが好まれることもあります。
また、コナでは、スペシャルティコーヒーの流行とともに新規参入した生産者が増え、農園ごとに個性的な味わいを打ち出す傾向があります。
そのため、ハワイコナの生産地全体としてのブランドの在り方にも変化が起き始めています。
生産量が世界比率で0.03%以下と希少
ハワイ州農務省の資料によると、2019~2020年にハワイで生産されたコーヒーの量は生豆で約230万kgでした。
これは世界のアラビカ種コーヒーの生産に対して約0.03%と非常に少ない量です。
一方コナコーヒーの価格は、世界のコーヒー価格の標準とされる「コロンビアマイルド」と比較して約6倍もします。
このようなことからも、コナコーヒーが希少なコーヒーとして認識されていることがよくわかります。
コナコーヒー3つの特徴
1.アメリカで栽培される唯一のコーヒー
世界のコーヒー生産は、コーヒーベルトというエリアの中で行われています。
アメリカ合衆国の中でコーヒーベルトの中に入るのはハワイ州だけです。
ハワイ州では他に、マウイ島、オアフ島、カウアイ島でもコーヒーが生産されていますが、コナコーヒーはブランドとして世界的に有名であり、ハワイ島コナ地区の生産量はハワイ全体の約9割を占めています。
2.苦味が少なくやわらかな酸味と甘い香り
ハワイのコナコーヒーのほとんどは、アラビカ種のティピカです。
コナコーヒーはティピカは、甘い香りとマイルドな酸味があり、苦味はかなり控えめです。
甘い香りはシロップやはちみつ、ミルクチョコレートなどに例えられます。
コーヒーに普段ミルクや砂糖を入れる人でもブラックで飲めるぐらい、非常に飲みやすいコーヒーです。
3.スッキリと爽やかな香りと味わい
コナコーヒーは甘いと表現されますが、濃厚な甘さではなく、すっきりした爽やかな香りです。
特に浅煎りでは果実のような爽やかさが際立っています。
透明感があり軽やかな口当たりで、短い余韻が特徴です。
入れ方にもよりますが、重厚なコクのあるコーヒーを好む人には物足りなさを感じるかもしれません。
コナコーヒー5つの等級
コナコーヒーの等級はまず、コーヒー豆の形で「タイプ Ⅰ」「タイプ II」の2つに分けられます。
さらに、豆の大きさや欠点豆の数などで等級が決まります。
タイプ Ⅰ (平豆:普通の形の豆) |
タイプ II (ピーベリー) |
コナ エクストラファンシー | コナ ピーベリー No.1 |
コナファンシー | コナ ピーベリー プライム |
No.1 | |
コナセレクト | |
コナプライム |
コナプライムの下に、さらに2つの等級がありますが、それぞれ「ハワイアンコーヒー」という名称で売られています。
また、タイプ II のピーベリーはコナコーヒー全体の3~5%しか収穫できないため、希少価値が高いです。
例えば、ハワイにある「koa coffee」というオンライン販売サイトでは、約1㎏で195ドルという高額で売られています。
コナコーヒーにはブレンドとストレートの2種類がある
コナコーヒーには、コナ100%のストレートと、コナコーヒーに他の豆を混ぜたブレンドがあります。
ブレンドの場合「コナブレンド」として販売するには、10%以上のコナコーヒーを含むことが条件です。
ブレンドは確かにリーズナブルですが、コナコーヒーの風味からは程遠いものもあります。
本当のコナコーヒーを味わってみたいなら、ストレートをおすすめします。
コナコーヒーの美味しい入れ方と飲み方
焙煎度合いは浅煎りから中煎りがおすすめ
コナコーヒーの生豆を焙煎する機会はなかなか少ないと思いますが、もし焙煎する場合は浅煎りから中煎りがおすすめです。
コナコーヒーの特徴である甘い香りを生かすことができます。
焙煎度が深くなるにつれて酸味が少なくなり、コクが出ますが、深煎りにすると香りの特徴が失われてしまうので注意してください。
コナコーヒーの美味しい入れ方
コナコーヒーは、甘さと爽やかな酸味の香りが特徴です。
ドリップやフレンチプレスなど、ゆっくりした抽出方法にすると、繊細な香りを失うことなく入れることができます。
ドリップの場合は、香りを生かすためにお湯の温度を80℃ぐらいの低めにしてください。
沸騰したお湯をカップとサーバーに移し、そのまま水通ししたケトル(抽出に使うもの)に移します。
この手順でカップとサーバーが温まり、ケトル内のお湯も80℃前後まで下がります。
コナコーヒーの主な品種はアラビカ種のティピカ
ハワイのコナコーヒーの主な品種は、アラビカ種のティピカです。
大部分はグァテマラから来たのティピカの子孫ですが、ブラジルから来たティピカもまだ植えられています。
1960年代からは「レッドカトゥーラ」や「ブルボン」も栽培されるようになりました。
複数のアラビカ種を栽培する農園も多く、精製から焙煎まで複数の品種が混ざった状態で行われます。
お店でティピカ100%のコナコーヒーを探すのは難しくなりますが、品種が混ざることで生まれる風味のバラエティがむしろ好まれています。
コナコーヒーの栽培環境
コナコーヒーの生産地は、水はけがよくミネラルと養分に富んだ火山灰土の土壌です。
標高は約200~800mとあまり高くないのですが、この斜面の微小気候がコーヒー栽培に理想的な環境を作り出しています。
日中は海からの暖かい風、夜間は冷えた空気が山から下りて涼しい風が吹き、昼夜の寒暖差が生まれます。
東向きの斜面は、午前中は日当たりがよく、午後は日陰で雨が降りやすくなります。
コナコーヒーはウォッシュド式で精製される
収穫されたコナのコーヒーは、水洗いする「ウォッシュド式」で精製されます。
皮むきしたコーヒーの種は1日ほど置いた後に水洗いして、10~14日ほど天日干しで乾燥させます。
豆の水分量を保つために、脱殻はすぐには行いません。
シルバースキンをつけたままで保管し、出荷の直前に脱殻します。
コナコーヒーの歴史は1825年にスタート
コーヒーがハワイ州に持ち込まれたのは1825年のことです。
王の側近としてイギリスを訪れたオアフ島の酋長ボキ・カマウレウレが、イギリス人の農学者ジョン・ウィルキンソンに砂糖とコーヒーを栽培するよう依頼したことがきっかけです。
ジョン・ウィルキンソンはブラジルからオアフ島へティピカの木を持ち込みました。
ハワイ島コナで初めて植えられたのはその3年後で、宣教師のサミュエル・ラグラス牧師がボキ酋長に分けてもらったコーヒーの木を観賞用として植樹したのが始まりです。
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