ジャコウネコの糞から採取したコーヒー豆や、40年以上寝かせたコーヒー豆など色々飲んでいる「コーヒーブロガー山口」です。(@yamaguchicoffee)
今回は、山形県鶴岡市にある「専門店コフィア」のコーヒー豆の感想と、お店で飲んだコーヒーの感想をレビューします。
山形県鶴岡市の「コフィア」とは?
コフィアといえば、コーヒーファンの間では有名なお店。
コフィアのマスター「門脇祐希」さんは、東京・吉祥寺にあった自家焙煎とネルドリップの名店「もか」のマスター、標交紀(しめぎ ゆきとし)さんの一番弟子。
「コーヒーの鬼」「コーヒーの神様」と呼ばれた標さんは「自家焙煎の御三家」のひとり。
※御三家とは「吉祥寺もかの標交紀」「銀座カフェ・ド・ランブルの関口一郎」「南千住カフェ・バッハの田口護」のお三方。
コフィアのマスターは標さんのもとで11年間、修行されました。
標さんが他界された今、「唯一もかのDNAを継ぐコーヒーが飲める場所」がコフィアだと言われています。
そんなコフィアは、Googleレビューなどの口コミでも
- 「洗練された所作で淹れられたこだわりの珈琲」
- 「日本一の味。コーヒーの味が本当に解るお店」
- 「美味しいコーヒーとは、このコーヒーのこと」
など、味に関しては素晴らしい評価が目立つ。
ただ、サービスに関しては
- 「美味いコーヒーを味あわせてやるからこちらの流儀に従え、という職人堅気オーラが凄い」
- 「もう二度と行くことのないカフェ」
- 「鬼気迫る形相でコーヒーを抽出している」
などの口コミもある。
幸い、僕は職人気質のおっちゃんが大好きな性格なので、そんな職人がどんなコーヒーを淹れるのか?気になって仕方なかった。
コフィアの店内はクラシックが静かに流れ、「純喫茶」そのものの雰囲気。
カラメルのような甘い香りが店中に広がっており、すでに「美味しいコーヒー」が飲めそうな予感。
メニュー
※画像クリックで拡大できます。
ご覧のとおり、コフィアにはフードはおろか紅茶すらない。
完全にコーヒー専門店なので、訪問前に食事を済ませるように。
店内ではコーヒー豆の販売も行っている。
お店まで遠くて行けない人は、コーヒー豆を電話注文できる。
マスター曰く「最近の新しいもの(スマホなど)は一切使わないから、電話だけ」とのこと。
ハラール モカを飲んでみた
▲コフィア ハラールモカ ¥670
カップに顔を近づけると、モカ特有の「花のような香り」に加え、ワインのような、果物のようなフルーティーな香りが複雑に絡み合っている。
一言では表現できない香りだが実に心地よい。
さっそく一口飲むと、ワインのような滑らかな旨味とコク、ほどよい苦味と酸味が上品にまとまっている。
「美味しいコーヒー」というより「洗練された上品なコーヒー」という感想を抱いた。
もちろん、美味いのは確かだが、そんな一言では言い表せない「複雑な味わい」なのである。
幾つもの味わいが高いレベルで均一に整っており、一口飲むたびに新しい味と出会える。
それがコフィアのハラールモカだ。
次は、僕が愛してやまない「マンデリン」を門脇さん渾身の抽出でいただく。
▲コフィア マンデリン ¥560
門脇さん手製のネルフィルターでじっくりと抽出されたマンデリンは、ハラールモカとは大きく異なる「野生味あふれる風味」が鼻腔を抜ける。
どっしりとしたコク、かすかな酸味、ほどよい苦味、黒蜜のような甘みが高いレベルで一体にまとまっている。
味わいに淀みが一切なく、重厚感ある味わいなのに透明感のあるクリアさが印象的。
旨味がこれだけ凝縮されているのに雑味やエグ味がない。
かつて銀座で飲んだカフェ・ド・ランブルの「スマトラ(マンデリン)」や「セレベス(トラジャ)」を思い出させる、そんな味わいだ。
コフィアのネルドリップコーヒーを堪能したところで3種類のコーヒー豆を購入。
支払いを済ませて店を後にしようとすると、マスターから声をかけられる。
マスター「家ではどうやって抽出してる?」
山口「ネルドリップかペーパーです。フィルターはマルタ製で・・・」
マスター「うちのフィルターはマルタとちょっと違うんだ。見てごらん」
と見せてくれたのが、こちら↓
マスター「このフィルター見て、何か違うと思わない?」
山口「起毛面がマルタと違う」
マスター「そう。縫い目も違うんだよ。この作りのフィルターは売ってないから自分で作ってる」
山口「そのフィルター2つ売ってください」
マスター「裁縫できる?」
山口「いいえ、まったく笑」
マスター「替のフィルターは裁縫できないとダメ。自分で縫い付ける必要があるから」
山口「じゃあ本体を2つください。また必要になったら電話注文できますか?」
マスター「豆と一緒に買うなら良いよ」
山口「わかりました。来年またお店来るので身体壊さず元気でやっててください」
マスター「それは約束できないな笑」
山口「もかのコーヒーはどんな味だったんですか?」
マスター「あの頃は私が未熟だったから、師匠から全てを学んで理解することは難しかった。でも、本物(のコーヒーを淹れる人)かどうかは、その人の仕事を見てりゃ分かるよね」
山口「・・・」
マスター「いつの時代も紛い物が横行して、本物(のコーヒー)が飲める場所は本当に少なくなった」
山口「そうですね。僕は本物が飲みたくて今日ここに来ました」
マスター「どこから来たの?」
山口「函館です」
マスター「笑」
マスター「今日もう帰るの?」
山口「仙台で一泊して、明日帰ります」
マスター「それならお土産をあげるよ」
▲「吉祥寺 自家焙煎もか」で実際に使っていた冊子。
所々黄ばんでいて味がある。また紙に焙煎のカラメルのような香味が染み付いている。
▲紙袋は「自家焙煎もか」で使っていたものをコフィアの電話番号に変えたもの。
▲標さんと門脇さんが掲載されている新聞の一面
たくさんのお土産をもらって、いろんな話をして涙腺が緩んだ。
今まで数々のカフェに訪れたが、コフィアに来て良かったと心底感じた。
毎年必ず訪れるので、門脇さんにはいつまでも元気でいて欲しい。
※コフィアのマスターは確かに無愛想で職人気質。
スタバみたいに「笑顔で接客」とか一切ないけど、あれだけの「本物の仕事」をすれば鬼気迫る形相にもなる。
接客に使うキャパを焙煎と抽出に使ってるってだけの話だす。
コフィアのコーヒー豆の感想
今回は3種類のコーヒー豆
- ハラール・モカ(エチオピア)
- ブラジル
- タンザニア
この3つを飲んでレビューする。
ハラール・モカ(エチオピア)
こんがりと深煎りされたコーヒー豆は粒がきれいに均一に整っている。
美味いコーヒー豆は実際に食べても美味しい。香ばしくサクッとしていて苦味がほとんどない。
▲門脇さん自作のネルフィルターで抽出。
マルタ製よりも大きい(2~3杯用)ので抽出が難しい。
コフィアのフィルターで美味しく淹れるなら3杯分のコーヒー粉(30g)をセットすると良い。
▲コフィア ハラール・モカ(エチオピア)
100g ¥880
湯に触れた粉はふわっとドーム状に膨らみ、鮮度の良さを示している。
さっそく1口飲んでみると、お店で飲んだ1杯を彷彿とさせる「なめらかな旨み」「ほどよい酸味」「透明感のある澄んだ苦味」が感じられる。
苦味がスーッと消えていくと、今度は甘みとコクが姿をあらわす。
カップ一口分をじっくりと味わうだけの「ほんの数秒」の間に、これだけの味のグラデーションが脳裏をかすめる。
舌に残る味わいと言うより「脳に残る味わい」という表現が適切かも知れない。
それがコフィアのハラール モカだと感じた。
しかし、いつも愛用しているマルタ製ネルフィルターだと、どんな味なのか?
試さずにはいられない。
コフィアのフィルターの約2倍の厚みがある「マルタ製フィルター」で抽出すると、どっしりとした味わいに仕上がる。
とくに甘みとコクが強く抽出され、非常に飲みごたえのある味わい。
一杯で満足できる濃厚なコーヒーを淹れるならマルタ。
透明感のあるクリアな味わいが好きなら、コフィアのフィルターで飲むのがおすすめ。
ちなみに、ペーパードリップだとどんな味なのか?
どうしても気になって、試せずにはいられない。
僕の好みのドリッパーは「KONO名門ドリッパー」。
KONOのフィルターは紙臭さが少なく、ネルドリップにちょっと近い味わいになる。
最高の鮮度をあらわす膨らみ具合は芸術的であるとさえ感じさせる。
美しい。
ペーパードリップしたコフィアの「ハラール モカ」は、酸味がやや強く抽出され、苦味や甘み、コクが控えめ。
そして、雑味とエグ味が少々感じられる。
今まで2回ネルフィルターで飲んでいるので、ペーパーとの味の違いがハッキリと分かる。
「コーヒーの鬼」と呼ばれる標さんも言っていたように、やはりネルドリップに勝る抽出方法はない。
しかし、ペーパーにはペーパーの手軽さや毎回清潔に使える点など、メリットも多い。
なので、ペーパードリップで雑味やエグ味を無くす「究極のドリップ法」を書いておく。
豆18g(160cc抽出する場合)
- ドリップ130cc
- お湯だけを30ccカップに直接入れる
これは「コーヒーのお湯割り」とも言えるレシピだ。
雑味やエグ味が見事に消えて、旨みとコクだけが残る「究極のペーパードリップ法」だ。
少し豆を多めに使うことになるが、普通にドリップするよりも圧倒的にクリアな味わいに仕上がる。
長くなったが、次はコフィアのブラジルをネルドリップで飲んでみる。
ブラジル
コフィア ブラジル
100g ¥720
コフィアの豆「ブラジル」は、芳ばしい風味とカラメルのような甘みがほのかに感じられる。
コフィア自家製ネルフィルターで抽出したため、雑味が一切ないクリアな旨みが舌を駆け巡る。
ハラール モカのようなインパクトは無いが、安定感のある「これぞ真のコーヒー」という香味が印象的。
次は、最後のコーヒー豆「タンザニア」を飲んでみる。
タンザニア
コフィア タンザニア
100g ¥860
コフィアのタンザニアをネルドリップすると、花のような、果実のような魅惑的な香りが鼻腔をくすぐる。
ひとくち飲むと、モカとも異なるフルーティーな風味が鼻から抜けていき、脳に残る。
舌の上でスーッと消えていく爽やかな酸味が上品さを感じさせる。
ほどよい苦みと、カラメルのような香ばしい甘みが良いアクセントになっている。
まとめ
さて、今回は山形県鶴岡市の自家焙煎店「コフィア」のレビューをしてきた。
お店が気になっていたファンは旅行がてら一度訪れてみると良い。
鶴岡は海鮮の美味しさにも定評があり、有名なイタリアンのお店「アル・ケッチァーノ」も人気だ。
コフィアの豆はネット通販を行っていないが、電話注文は可能だ。
その際、 に外せない銘柄は「ハラール・モカ」。
さらに美味しく飲みたいならネルフィルターを買うのもおすすめ。
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