モカ・ブルーマウンテンと並び「世界三大コーヒー」とも称されるタンザニア産のキリマンジャロコーヒー。爽やかな酸味とコク、花のようなフルーティーな風味が特徴です。
本記事ではキリマンジャロコーヒーの魅力に迫るとともに、おすすめの飲み方やコーヒー豆も紹介していきます。
目次
キリマンジャロコーヒーとは
キリマンジャロコーヒーは、中央アフリカの東部にある国「タンザニア」に聳え立つキリマンジャロ山域で栽培収穫されたコーヒー豆のブランド。
日本でキリマンジャロの名が広く知れ渡ったのは、ヘミングウェイ原作の「キリマンジャロの雪」の公開がきっかけとも言われているようです。現在の日本では、タンザニアで栽培収穫された水洗式アラビカ種コーヒーの総称として親しまれています。
そんなキリマンジャロコーヒーの栽培環境や生産状況について見ていきましょう。
キリマンジャロコーヒーの産地について
キリマンジャロコーヒーの産地、キリマンジャロは、標高5,895mを誇るアフリカ大陸最高峰の火山。
キリマンジャロとは、タンザニアの公用語スワヒリ語で「輝ける山」を意味します。赤道近辺にありながら、山頂付近には氷河や万年雪が存在しており、その標高の高さと豊富な雪解け水によって多様な植物が繁茂しています。
また、タンザニア全土の約3分の1が1,000mを超える高原地帯であるため、その涼しい環境がコーヒー栽培に適しているのです。
キリマンジャロコーヒー栽培の歴史
キリマンジャロコーヒーにおけるコーヒー栽培の歴史が、産業として本格的にはじまったのは19世紀後半です。
当初は植民地化していたドイツ政府が雨の多い地域、また低地での栽培をしていたため、思うようには収穫ができなかったとか。
その後、イギリス人やイタリア人など、様々な国の人々がタンザニアでのコーヒー栽培を行うようになり、1900年代初頭には、キリマンジャロ南部だけでおよそ28ものプランテーションが作られ、1910年代になるとその数は100以上にも上ったといわれています。
1961年に独立して以降は、南部にもコーヒー栽培が拡大し、国を代表する農作物と発展していきました。
キリマンジャロコーヒーの栽培環境
キリマンジャロ山域は、コーヒー豆を育成するのに非常に優れた環境を持ち合わせています。
キリマンジャロの中腹・標高1,500~2,500m付近では、年間約1,200mmを超える豊富な降水量に恵まれており、標高が高く朝晩の寒暖差が激しいことも特徴のひとつ。
この寒暖差によって、水分が多く、硬くぎゅっと締まった豆に育つといわれています。さらに上記に加えて、キリマンジャロの火山活動によって育まれた火山灰が、肥沃な土壌を形成。
豊富な降水量と、高地特有の朝晩の寒暖差、そして火山灰土壌といった条件が重なって、美味しいコーヒー豆が作られているのです。
キリマンジャロコーヒーの生産状況
キリマンジャロコーヒーの約9割は、耕地面積2ヘクタール未満の小規模農家によって生産されています。
タンザニア全域の収穫量を合わせても全世界の収穫量は1%程度。ですが、日本への輸出割合はドイツに次いで多く、コーヒー愛好家からは「キリマン」の愛称で親しまれています。
輸入当初、日本はドリップコーヒーが根強く、キリマンジャロコーヒーはドリップ向きであることや、ヘミングウェイの映画がヒットしたこともあり、日本人に親しまれるようになのったのかもしれません。
キリマンジャロコーヒーの等級・グレード
キリマンジャロコーヒーの等級・グレードについて解説します。
キリマンジャロコーヒーは、スクリーンサイズ(コーヒー豆の大きさ)と欠点豆の混入度合い(数)、色合いによって評価。厳しい条件を満たしたものだけが「AA」と呼ばれており、判定基準は「C」まであります。
- AA: 6.75㎜以上
- A:6mm~6.75mm
- AB:AとBの混合
- B:6.15mm~6.25mm
- C:5.9mm〜6.15mm
1スクリーンは約0.4mm程度なので、豆のサイズが大きいものほど高品質とされています。
そして、最高ランクである「AA」を冠するには、以下のような条件があります。
- スクリーン17(6.75mm)以上で、18以上のコーヒー豆が86%以上含まれる
- 割れ豆およびエレファントが2%以内
- 黒豆の含有なし、豆は緑色で炒り上がりが良い
- 死に豆1%以内
「AA」は、こうした厳しい条件を満たして、はじめて認められる高級グレードです。
キリマンジャロコーヒーの特徴
ではここから、キリマンジャロコーヒーの精製方法・味わい・香りの特徴を解説していきます。
コーヒー産地ごとの味や香りの特徴が分かると、自分好みのコーヒー豆を選びやすくなるので、ぜひチェックしてみてください。
キリマンジャロコーヒーの精製方法
キリマンジャロコーヒーの精製方法は、多くがウォッシュド製法(水洗式)を導入しています。コーヒーチェリーを貯水槽に入れ、水に浮かぶ実や沈む石などの不純物を取り除きます。果肉を除去した後、粘液質をきれいに洗い流してから豆を乾燥させます。
こうした精製方法を取り入れているため、欠点豆が少なく、豆に均一性があり、すっきりとした酸味のあるクリーンで質の高い味わいとなるのです。
最近では、様々な精製方法を使ったキリマンジャロコーヒー豆も流通してきています。同じ豆でも精製方法の違いで味わいも異なってくるので、選ぶ際の基準に入れてみるのも面白いでしょう。
キリマンジャロコーヒーの味わい・香りの特徴
コーヒー豆は標高の高いところで育つと味が凝縮され、平地で栽培されるコーヒーよりも酸味・香りなどがより強く表れます。
そんな高地で栽培されるキリマンジャロコーヒーはの味わいは、苦味が少なくどっしりとしたコクと、雑味のないすっきりとした後味が特徴。また、その香りは花や柑橘を思わせるフルーティーさを持ち合わせており、やや強い酸味と華やかなアロマを体感できます。
モカと似ているように思えますが、余韻の長さの違いが上げられるでしょう。キリマンジャロコーヒーは、余韻が短くキレの良さがモカとの違いです。
コクがありながらもクリアな飲み口と、しっかりとした酸味、フルーティーな香りの全体のバランスの良さが、多くのファンを魅了しているのかもしれません。
キリマンジャロコーヒーの品種・種類
ここから、キリマンジャロコーヒーの品種・種類について解説します。
タンザニアで栽培されているコーヒーのうち、品種が「アラビカ種」のもののみをキリマンジャロと呼びます。そのなかでも突然変異種といわれるケント種やブルボン種が多く栽培されているため、こうした品種についても詳しく見ていきましょう。
前述したように、キリマンジャロ山域ではその気候がコーヒー豆栽培に適しており、中でも中腹域で栽培している豆が高品質であることが多いのですが、キリマンジャロで栽培されているアラビカ種であれば、全てキリマンジャロコーヒーと名乗れるため、味にばらつきが出てしまいます。
そのことから最近では、差別化を図るために「キリマンジャロ」ではなく農園の名前や地域の名前、独自のブランド名で販売するコーヒー豆農家が増加。
このように、しっかりと独自でブランディングをしているものでは、エーデルワイス農園で栽培している「タンザニア エーデルワイス」、モンデュール農園で栽培している「タンザニア モンデュール」などが有名です。
ティピカ種
ティピカ種は、歴史上最も古くからある品種のひとつです。刺激的な酸味と華やかな香りのある、はっきりとした味わいが特徴とされています。
直射日光への耐性が低く、栽培が困難な品種とされていますが、キリマンジャロ山近郊のモンデュール農園などでは「シェードツリー」を利用し、高品質なティピカを栽培しています。
ブルボン種
ブルボン種は、ティピカが突然変異して生まれた丸みのある小粒なコーヒー豆です。マイルドな酸味とまろやかなコク、そしてしっかりした甘みが特徴的なブルボンコーヒーは、コーヒーが苦手な人でも飲みやすい上質な味わいを持っています。
ほかの品種に比べると、病害虫に弱かったりと安定的な栽培が困難な品種であり、希少価値の高い高級品としても市場に出回っています。
ケント種
ケント種もブルボン種同様にティピカの突然変異種です。ティピカと比較しても耐病性が高く、収穫量の多い優良種として知られています。
すっきりとした控えめな酸味とやわらかな舌触り、どっしりとしたコクが特徴で、他の品種と共にブレンドに加えられることが多い品種のようです。
キリマンジャロコーヒーの美味しい飲み方
品種や種類について理解を深めたところで、次はキリマンジャロコーヒーの美味しい飲み方を紹介します。
キリマンジャロコーヒーは豆の焙煎度合いや、コーヒー豆の挽き具合、淹れ方によって様々な味わいが楽しめます。
おすすめの焙煎度合い
キリマンジャロコーヒーの魅力は、その個性的な酸味と華やかな香りにあります。
その魅力を最大に引き出し、酸味を引き立たせるためにおすすめの焙煎度合いは、浅煎り〜浅めの中煎り。キリマンジャロコーヒーの特徴的な酸味と香り高いアロマを存分に楽しむことができるでしょう。
一方で中深煎り〜深煎りにすると、酸味は落ち着き、ローストによる香ばしさとほどよい苦味が感じられるようになります。酸味が苦手な方や苦味やコクを味わいたい方は、深煎りを選んでみると良いかもしれません。
おすすめの挽き具合
キリマンジャロコーヒーの挽き具合は、中細挽きか中挽きをおすすめします。キリマンジャロコーヒーの酸味とコクをバランスの良く楽しむには、中挽きが適しているからです。
挽き方には極細挽きから荒挽きなどがあり、一般的に細かいと抽出効果が高くなり苦味やコクが濃厚になる一方、粗挽きだと酸味のしっかりした味わいになります。お好みの挽き方を見つけてみるのも楽しいですよ。
飲む直前に豆を引いて、キリマンジャロコーヒーの芳醇な香りを味わってみてください。
おすすめの淹れ方
キリマンジャロコーヒーの「香り」を楽しむ場合のおすすめの淹れ方は、ペーパードリップです。
その際、お湯の温度は80℃以下と高くしすぎず、抽出時間を2分程度と短めにしましょう。キリマンジャロコーヒーの爽やかな酸味と、豊かなコクを最大限に楽しめるかと思います。
また、キレのある飲み口とフルーティーな風味を持つキリマンジャロコーヒーは、アイスコーヒーにもおすすめです。
キリマンジャロコーヒーのおすすめコーヒー豆3選
ここから、キリマンジャロコーヒーのおすすめコーヒー豆を3選ご紹介します。
今回は、Amazonなどの通販や市販で気軽に買えるキリマンジャロコーヒーをセレクトしました。
コーヒーばかの店:キリマンジャロ AA(浅煎り)
浅煎りで、キリマンジャロコーヒーのフルーティな酸味を最大限に生かしたコーヒーです。
最高級「AA」グレードの豆を使用しているため、非常に香り高く上品な味わいを感じることができます。酸味が多いながらも黒糖のような甘い香りと、どっしりとしたコクもあり、バランスのとれた逸品。普段とは違う一杯を楽しむのにはもってこいのコーヒー豆です。
KakashiCoffee:タンザニア キゴマ AA(中深煎り)
良質な酸味とコクのバランスがよく、しっかとしたコーヒが好きな方へおすすめの一品です。
注文後に焙煎をしてくれるほか、100gずつ分包されているのも嬉しい配慮。フルーティーさとスパイシーさを併せ持つ、煎りたての新鮮な香りをそのまま楽しむことができます。値段も非常にリーズナブルで、新鮮な香り高いコーヒーを飲んでみたい方は、是非お試しください。
神戸ファクトリーナコーヒー:ロイヤルキリマンジャロ(中煎り)
キリマンジャロコーヒーはその酸味に特徴がありますが、本品は中煎りのため、ほどよい酸味と渋みに仕上がりバランスが良いコーヒです。高級グレード「AA」の豆を使用しており、粒が揃っているのも特徴。
フルーティーさが際立ち、ほんのりと酸味を感じることができるため、酸味は苦手だけどキリマンジャロコーヒーを楽しんでみたい方に是非、飲んでみて欲しい一品です。
キリマンジャロコーヒーの特徴まとめ
今回は、キリマンジャロコーヒーの特徴について解説してきました。
高原地帯で栽培収穫されたキリマンジャロコーヒーは、しっかりとした酸味と香り、そしてすっきりとした口当たりのよさが特徴です。
全世界の収穫量は1%に満たないものの、日本では「キリマン」の愛称でも親しまれているキリマンジャロコーヒー。高級グレード「AA」の豆を浅煎り〜浅めの中煎りで焙煎したものをペーパードリップで淹れて、その魅力を最大限に味わってみてください。
キリマンジャロコーヒー以外にも、様々なおすすめコーヒー豆を下記で紹介しています。あわせてチェックしてみて下さい。