フレンチローストは深煎りの焙煎につけられた名称の1つです。よく使われている焙煎の名称を8段階に並べた場合、イタリアンローストに次ぐ深い焙煎になり、豆の色は黒に近く、表面は油でつやが出ています。
しっかりした苦味・まろやかな口当たり・コクが特徴で、カフェオレやアイスコーヒーなど幅広いアレンジができ、クリームやバターを使った濃厚なスイーツによく合います。
今回はフレンチローストの特徴について解説し、通販で購入できるフレンチローストの焙煎豆6選を紹介します。
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フレンチローストとは?
コーヒーの焙煎度合いは浅煎り・中煎り・深煎りの3段階に分けられます。フレンチローストは深煎りの焙煎につけられた名称の1つです。
フレンチローストで焙煎された豆の色は黒に近い茶色で、表面にコーヒー豆から出た油分がにじみ出て光沢があります。
「〇〇ロースト」という名称はさまざまなものがありますが、よく使われる名称を並べて上の図のように8段階で示した場合、フレンチローストはイタリアンローストの次に深い焙煎として扱われています。
コーヒーの生豆を焙煎し始めてしばらくすると、パチパチと豆のハゼる音が聞こえてきます。焙煎度合いを決めるとき、このハゼの音が判断基準になります。
1回目のハゼが終わり、2回目のハゼの音のピークで焙煎を止めたものはフルシティロースト、終わりごろで止めたものはフレンチロースト、完全に終わってから止めたものはイタリアンローストと呼ばれています。
ただし「〇〇ロースト」の呼び方に定義はないため、上記のフルシティローストの段階やイタリアンローストの段階で止めたものをフレンチローストと呼ぶこともあり、世界の地域や焙煎業者などによって異なります。
フレンチローストは砂糖を焦がしたような香りと苦味が特徴
フレンチローストは苦味がしっかりとしていて、酸味はほとんど感じられません。コーヒー豆は焙煎が進むほど酸味が減り、苦味が増すためです。
フレンチローストの特徴は、砂糖を焦がしたような香りで、ときにスモーキーさも感じられますが、それはコーヒー豆の中に含まれる糖分が焙煎中にカラメル化反応を起こすためです。
この香ばしい香りは、よくビターチョコレートやカカオなどに例えられています。
同じコーヒー豆の場合、旨味はフルシティローストあたりでピークに達し、フレンチローストでは減少していることが多いです。
一方で、コーヒーオイルの働きで口当たりはよりまろやかになっています。コーヒーオイルは焙煎により表面に出てきた豆の油分で、深煎りにするほど多くなります。
そのためフレンチローストは、コーヒーオイルから出たまろやかさが苦味や香ばしい香りと相まって、深いコクを感じられます。
フレンチローストの由来は「フランスでポピュラーな極深煎りの焙煎」
フレンチローストは「フランスの焙煎」という意味ですが、フランスでほかの国と違う特別な焙煎方法が行われているわけではありません。
また、フランス人がつけた名称ではなくアメリカ合衆国で始まった呼び方で、「フランスでよく使われている極深煎りの焙煎」という意味が込められています。
アメリカ合衆国では浅煎り~中煎りの軽やかなコーヒーが好まれるのに対し、ヨーロッパでは深煎りのコーヒーが好まれる傾向があります。
特にフランス・イタリア・スペインなどヨーロッパ南部の国々では伝統的にエスプレッソが主流で、深煎り・極深煎りの焙煎豆が主に使われてきました。
このことから、深煎りの中でも特に深煎りの焙煎に「フレンチ」「イタリアン」という国名をつけて呼ばれるようになったのです。
フレンチローストのおすすめの楽しみ方は?
濃厚な苦味とまろやかさが特徴のフレンチローストはストレートで飲めば、豆によって異なる風味が楽しめます。すっきりした苦味は食後の一杯にも向いています。
フレンチローストは、いろいろなアレンジが可能です。酸味が少なくミルクとの相性が抜群ですので、カフェオレやカフェラテに最適です。
暑い季節にはアイスコーヒーにすると、フレンチローストのきりっとした苦味と香ばしさが引き立ちます。
アイスコーヒーはドリップして氷で冷やすのもよいのですが、水出しコーヒーにするとゆっくり抽出されるため雑味が抑えられて、丸みのある味わいになります。
エスプレッソはイタリアンローストだけでなくフレンチローストの豆も使えます。イタリアンローストに比べてスモーキーさが少なく、マイルドな印象の味わいになります。
フレンチローストの美味しい入れ方・豆の挽き方・おすすめの抽出器具
ペーパードリップでフレンチローストを入れる場合、豆の挽き具合は中挽き~中細挽きが適しています。
フレンチローストの苦味とコクを活かしつつ、雑味を抑えるには、お湯の温度を低めに設定します。
コーヒーをドリップでいれる場合、お湯の温度は92±4℃を目安にし、深煎りの場合は88~92℃、浅煎りの場合は92~96℃と言われています。
これを基準にすると深煎りのフレンチローストも88~92℃が適温ということになりますが、実際はもっと低温の85℃前後で入れられることもあります。
豆や使う器具によっても異なるため、自分の好みと相談しながら試してみるとおいしいと思う適温が見つかるでしょう。
お湯の温度以外のポイントは、抽出にじっくり時間をかけることです。その理由はフレンチローストの味わいの中心となる苦味が抽出の後半で出てくるためです。
具体的には、蒸らし時間をとってコーヒー豆とお湯をなじませること、その後数回に分けて注ぐ際に、前半より後半でお湯を多く使うことです。
器具については、ドリッパーは3つ穴よりもハリオV60、フラワードリッパーなどの1つ穴を選び、コーヒーポットは少しずつ注げる細口タイプを使うと、より時間をかけた抽出が可能です。
実際に使ってみて良かったおすすめの器具を次の記事で紹介しています。
フレンチローストに合うストレートコーヒー、豆の産地は?
フレンチローストをストレートで味わうには、長時間の焙煎に負けない強いボディの豆が適しています。
インドネシアのマンデリンは、複雑な風味やしっかりした甘み、重量感のあるボディがフレンチローストに向いています。
エチオピアのモカ、イルガチェフェなどはシトラス系の酸味が持ち味なので、一般的には浅煎り~中煎りで飲まれることが多いのですが、フレンチローストにすると酸味は抑えられ、チョコレートのような甘い香りが漂い、深く贅沢な味わいが生まれます。
ケニア産のコーヒー豆も浅煎り~中煎りではカシスのような果実味が楽しめますが、フレンチローストにすると芳醇で濃厚なコクと甘みの余韻が感じられます。
また、くっきりした酸味が特徴のキリマンジャロをフレンチローストにすると、酸味は影を潜め、キャラメルのような甘さと香ばしさが前面に出てきます。
なお、キューバやブルーマウンテンのように密度がなく水分も油分も少ない豆は深煎りに向きません。(深煎りにすると炭の味がします)
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フレンチローストのコーヒーはスイーツと相性抜群
フレンチローストの苦味となめらかな口当たりは、クリームやバターが入ったスイーツと相性抜群です。
ケーキならずっしりしたチョコレートケーキやチーズケーキ、シュークリームやエクレアなどがよく合います。
ほかに甘みの強いドーナツ、アイスクリーム、キャラメルなどもよいでしょう。
和菓子なら黒糖かりんとうや羊かんなど、甘みの強いものや小豆の入ったものがよく合います。クリーム入りのどら焼きなど、和菓子でもクリームが入ったものは、フレンチローストと特に相性がよいです。
カフェオレには、クッキーやスコーン、あんパンなどミルクに合うスイーツがよく馴染みます。
クロワッサンやデニッシュなどバターたっぷりのパンもフレンチローストに合い、ストレートコーヒーやカフェオレとセットで朝食にもなります。
コーヒー豆のフレンチローストおすすめ6選
ここから、実際に飲んで美味しかったフレンチローストのコーヒー豆おすすめ6選を紹介します。
1:青海珈琲 青海エスプレッソ
価格 | 1,200円 |
100gあたり | 400円 |
コーヒー豆の量 | 300g |
コーヒー豆の種類 | ブラジル・コロンビア・グァテマラ・インドネシア産のコーヒー豆をブレンド |
焙煎度合い | フレンチロースト |
行列ができる東京の人気コーヒースタンド「青海珈琲」。深煎りを得意とするコーヒーショップで「ビターチョコレートのような甘み」と「カカオのようなほろ苦さ」が特徴です。
コーヒーは深煎りにすると甘味が出ますが、この豆は甘すぎず、すっきりした苦味があるので水出しアイスコーヒーにも使えます。
フレンチロースト仕上げなので酸味はありません。ミルクや氷に負けない「どっしりとしたコク」があり、一杯で満足できる味わいですが、スタバのような味ではなく、後味がすっきりとしていて飲みやすいです。
「毎日飲みたいと思えるシンプルなおいしさ」が青海珈琲の特徴で、「飾り気のない美味しさがあれば良い」という方におすすめです。
品質の高い「アラビカ種」を100%使っているので、スーパーなどの豆よりは値段が高いですが、味は全然違うと思います。
なお、青海珈琲では500gの大容量で注文も可能ですが、これだと100gあたり550円と高くなってしまうので、お試しセットページから注文するのが最安です。
単品購入のページから注文すると、100gあたり550円。500gを選んでも100gあたり440円なので、お試しセットの方が安い。

お試しセットは100g400円。しかも送料無料。
お試しセットのページから注文すると、100g400円で同じものが買えるのでちょっとお得です。
しかもこのセットは「初回限定」などのルールがないので、気に入ったら何度でも購入できるのがポイントです。
スーパーで買えるコーヒー豆と比べたらちょっと高いと感じるかもしれませんが、注文後に焙煎してくれるので鮮度も良いですし、挽きたての香りと味を楽しみたい「こだわり派」の方は、きっと満足するかと思います。
青海珈琲 青海エスプレッソ
実際に飲んだレビューは「コーヒー豆通販レビュー|青海珈琲「青海エスプレッソ」飲んだ正直な感想」をご覧ください。
2:土居珈琲 マンデリンG1 フレンチロースト
価格 | 2,360円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 1,180円 |
1杯あたり | 118円 |
豆の産地 | インドネシア |
焙煎度合い | フレンチロースト |
大阪にある老舗ロースター「土居珈琲」が手掛けるインドネシアの最高グレード豆「マンデリンG1」。
土居珈琲も深煎りを得意とするお店で、地元民はもちろん日本全国のコーヒーファンから支持されるお店です。フレンチローストというと苦味しかないイメージですが、このマンデリンはチェリーのような甘酸っぱさがほのかに感じられるのが特徴です。
わずかな酸味があることでコーヒーの味全体を上品に仕上げていて、 ワンランク上の美味しさのフレンチローストという印象です。
実際に飲んだレビューは「土居珈琲のコーヒー豆「マンデリンG1」を飲んだ感想を正直に述べる」をご覧ください。
3:南薫堂珈琲謹製 マンデリン フレンチロースト
価格 | 1,190円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 595円 |
1杯あたり | 60円 |
豆の産地 | インドネシア |
焙煎度合い | フレンチロースト |
東京の世田谷区にあるロースター「南薫堂珈琲」が直火式焙煎機でフレンチローストに仕上げたマンデリン。
同店は、自家焙煎したフレンチローストのコーヒー豆を中心に取り扱い、 このマンデリンはお店で一番人気のコーヒー豆です。
実際に飲むと深いコクの中に豊かな甘みが感じられ、重量感のあるどっしりとした味わいが楽しめます。 ブラックはもちろん、カフェオレにしてもミルクに負けない力強さがあります。
4:森彦 No.4 深モカ
価格 | 1,674円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 837円 |
1杯あたり | 84円 |
豆の産地 | エチオピア |
焙煎度合い | フレンチロースト |
道内のみならず、日本全国にファンが多い北海道・札幌の自家焙煎店「森彦」のNo.4深モカ。
エチオピア モカは浅煎りで飲むのが主流ですが、敢えて深煎りにすることで華やかさと香ばしさのハーモニーが楽しめるようになっています。
ドリップすると、チョコレートのような甘くビターな香りが広がり、一口飲むとやや強めの苦味と深いコク、余韻の長さが感じられます。
そして、モカ特有のフルーティーな「オレンジのような味わい」も香ばしさの中でしっかり感じられ、この風味が味全体を爽やかにしています。
フレンチローストのコーヒーは、濃厚で力強い味わいの銘柄が多いですが、この「深モカ」は深いコクとフルーティーさが絶妙なバランスで口に広がります。
ペーパードリップで飲んでも充分美味しく楽しめますが、森彦本店で採用している「ネルドリップ」で抽出すると、苦味がよりマイルドになって、なめらかな味わいに変わります。
森彦 No.4 深モカ
実際に飲んだレビューは「森彦(Morihico)の名物「No.4深モカ」を飲んでみた感想を正直に述べていく」をご覧ください。
5:成城石井 フレンチロースト
価格 | 1,285円 |
内容量 | 450g |
100gあたり | 286円 |
1杯あたり | 29円 |
豆の産地 | ブラジル、ペルー、他 |
焙煎度合い | フレンチロースト |
成城石井のコーヒーコーナーは本格的で充実していると話題になっていますが、中でも特に人気が高い「フレンチロースト」。
実際に飲むと、どっしりした苦みが感じられ、後味はスッキリとキレが良いのが特徴。酸味がないので、酸っぱいコーヒーが苦手な方で、たっぷりのコーヒーをお求めの方におすすめです。
このコーヒー自体にコクや甘味はそこまで無いので、ミルクを入れてカフェオレにしたり、クリームを加えて「ウィンナコーヒー」にしたり、様々なアレンジコーヒーに向いてます。
成城石井のコーヒー豆は「成城石井のコーヒー豆おすすめランキング17選!マニアが美味しい珈琲豆を紹介」で詳しく紹介しています。
6:堀口珈琲 ブレンド7番 フレンチロースト
価格 | 1,836円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 918円 |
1杯あたり | 92円 |
豆の産地 | グアテマラ・コロンビア・コスタリカ |
焙煎度合い | フレンチロースト |
スペシャルティコーヒーの専門店「堀口珈琲」が手がけるフレンチローストのブレンドコーヒー。
深煎りコーヒーにありがちなスモーキーなフレーバーがあまり感じられず、チョコレートのような甘い香りを放つのが印象的です。
一口飲んで見ると、最初は強い苦味が舌に広がりますが、この苦味はすーっと舌の上で消えていき、しつこさがありません。
また、ほのかな甘みがありますが、これが強い苦味をマイルドで優しい味わいに仕上げている印象を受けます。
主張しすぎない口当たりで飲みやすい。そして、透明感がありながらも重厚な味わい。
一般的に流通するコーヒーとは一線を画す味わい、それが堀口珈琲・LCFグループが目指すものですが、まさにそれを体現した一杯だと感じました。
100gあたり918円と値段は安くありませんが、実際に飲むと価格に見合った「上質な味わい」が楽しめます。
堀口珈琲 ブレンド7番 フレンチロースト
実際に飲んだレビューは「堀口珈琲のコーヒー豆「ブレンド#7フレンチロースト」味の感想」をご覧ください。
スタバのフレンチローストの味は?
価格 | 1,990円 |
内容量 | 340g |
100gあたり | 582円 |
1杯あたり | 58円 |
豆の産地 | グアテマラ、ペルー、メキシコ、他 |
焙煎度合い | 深煎り |
スタバで販売されているコーヒー豆「フレンチロースト」は以前にレビューしましたが、ミルクやクリームを入れて飲むのに適しています。
非常に強い苦味があり、スタバのコーヒー豆特有の燻煙臭(スモーキーさ)が印象的でした。
ブラックで飲む場合、ネルドリップすると苦味の角が取れて飲みやすくなります。
スタバのコーヒー豆はフレンチローストを含めて、焙煎から1ヶ月ほど経過しているため、鮮度の良さはあまり期待できませんが、鮮度が低下しても「酸化による酸っぱさ」があまり出ないのが特徴です。
コクや甘み、旨みは控えめなので、ミルクやお砂糖加えてカフェラテ、カフェオレを作るのに適しています。
実際に飲んだレビューは「スタバのコーヒー豆【フレンチロースト】はおすすめ?感想を正直に述べる」をご覧ください。
フレンチローストとイタリアンローストを飲み比べ(味の違いを比較)
一般的には、フレンチローストよりもイタリアンローストの方が豆の色が黒く、苦味も強いです。
しかし、スターバックスの場合はイタリアンローストよりもフレンチローストの方がローストの段階がひとつ上となり、より強い苦味が感じられます。
イタリアンローストはほのかに酸味がありますが、フレンチローストは苦味が非常に強くて力強い味わいです。
イタリアンローストでは微かに感じられたフルーツやナッツのような風味はほとんど感じられず、強烈なロースト感と、他の豆にはないスモーキーさが感じられます。
ミルクを加えて飲むなら、フレンチローストの方が向いています。ブラックで飲むならイタリアンの方が飲みやすいかもしれません。
スタバのコーヒー豆ほぼ全種類のレビューを次の記事に掲載しています。
76種類のコーヒー豆を飲み比べてみた【ランキング一覧表】
Amazonや楽天、有名ブランドなどのコーヒー豆76種類をお取り寄せして、実際に飲み比べました。
有名なスタバやカルディをはじめ、丸山珈琲やサザコーヒーなどの人気店の味わいを50段階で数値化し、ランキングの順位を決定しました。
この記事では、酸っぱくないフルーティーなコーヒー豆や、酸味が少なくい飲みやすいコーヒー豆などを中心に紹介しており、100gあたり300円台で買えるコスパの良い商品も取り上げています。
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