ハイローストは中煎りの焙煎につけられた名称の1つです。焙煎の工程では1回目のハゼが終わり2回目のハゼが始まる前の段階で、豆は茶褐色で表面は油分がなく乾いています。
味わいの特徴は、浅煎りの段階で生まれたフルーツ由来の酸味や香り、風味が感じられます。また、焙煎により適度な苦みとコクが加わり始め、ほどよく深みのある味わいが楽しめます。
本記事では、ハイローストの特徴について解説し、通販で購入できるおすすめコーヒー豆を3つ紹介します。
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ハイローストとは?
コーヒーの焙煎は浅煎り・中煎り・深煎りという3段階のほかに、日本では上の図のような8つの名称で示すことが多いです。
ハイローストは中煎りの焙煎につけられた名称の1つで、中浅煎りと呼ばれることもあります。豆の色は茶褐色で、コーヒーオイルはまだ出ておらず、豆の表面はカサカサした質感です。
コーヒーの焙煎度合いを決めるとき、豆のハゼる音が判断基準の1つになりますが、ハイローストは1回目のハゼが終わり2回目のハゼが始まる前で煎り止めたものです。
ただし、ハイローストを含めた上の8つの名称は、1920〜1930年代に北米のコーヒー取引商の間で使われていた名称を並べたものにすぎません。
焙煎の名称に定義はなく、焙煎業者や地域によってさまざまな呼び方があり、時代によっても変化します。
そのため、上記のハイローストの段階を「ヴィエナ(ウィーン)ロースト」「シティロースト」と呼ぶこともあります。
豆本来の味わいを感じやすい
ハイローストは、苦味が控え目で、柔らかいコクがあり、豆それぞれの個性が表れやすい焙煎です。
コーヒー豆を焙煎する過程ではまず酸が増加するため、浅煎りの段階で酸味や甘い香りが生まれます。
中煎りの段階になると苦みや旨味が加わり、味は複雑さを増します。また香ばしい香りも加わります。
花や蜂蜜のように甘く華やかな香りや、果物のような甘酸っぱい香り、ソフトな香ばしさも感じられます。
ハイローストは豆が元来持つ味わいによって大きく左右される焙煎です。
酸味や苦みが控え目な豆はそのままマイルドな味わいになり、フルーティーな味わいの豆なら、そのフレーバーがしっかりと味わえます。
ハイローストのおすすめの楽しみ方は?
先ほどもお伝えしたように、ハイローストの豆は酸味や甘み、豆本来の個性的な香りと風味がバランスよく表れます。この特徴を楽しむにはブラックで飲むのがおすすめです。
特にゲイシャのような爽やかな風味の豆や、キリマンジャロのようにすっきりした酸味が特徴の豆はブラックが適しています。
カフェオレは深煎りの豆が合うイメージですが、ハイローストの豆でもおいしいカフェオレが作れます。一般に深煎りがよく使われるのは、ミルクを入れてもコーヒー感がしっかり残るためです。
ハイローストで作ると苦味が少なくなりますが、酸味が味に奥行きを出し、甘い香りのある優しいカフェオレになります。
普通の牛乳でも良いですが、特に低脂肪乳を使うとミルクとコーヒーのバランスがよく軽やかな味わいになります。
アイスコーヒーにすると爽やかな味わいに
アイスコーヒー用の豆は苦味の強い深煎りの豆が一般的ですが、ハイローストの豆でアイスコーヒーを作ると、果実味のある爽やかな味わいになります。
ハイローストの豆で作ったアイスコーヒーは、苦味が少なくフルーティーな香りと酸味が感じられ、果物のジュースを飲んでいるような感覚です。今までのアイスコーヒーに対する印象が変わるかもしれません。
アイスコーヒーを作る場合は、サーバーに氷を入れておいて濃い目に入れます。お湯の量の目安はホットの半分程度です。
また、水出しコーヒーにするとじっくり時間をかけて抽出できるため、まろやかな味わいになります。
エスプレッソには合わない?
ハイローストのコーヒー豆を極細挽にしてマシンにかければエスプレッソを作ることはできますが、一般的なエスプレッソとは味わいが大きく異なるものになります。
エスプレッソに使われる豆の焙煎度は8段階でいうとシティロースト~イタリアンローストにあたり、イタリア・フランス・シアトルの3つの国・地域で異なります。
イタリア北部ではシティ、南部ではフルシティ、フランスではフレンチ、シアトルではフレンチやイタリアンの段階の豆を使うことが一般的です。
つまりハイローストは一般的にエスプレッソでは使用されない焙煎度合いです。
中深煎り以上の豆を使う理由の1つは、エスプレッソの上にできるクレマという泡の層にあります。
クレマの適度な厚さやきめ細かさなどはエスプレッソの味で重要な要素の1つで、深煎りの豆ほど二酸化炭素を多く含むため、クレマが出やすいのです。
またイタリアではエスプレッソの濃厚さ、フランスでは深煎りによるコク、アメリカではシロップやミルクを合わせるため苦味の強さが重要視されます。
このような理由からエスプレッソでは中深煎り以上の豆が一般的ですが、あくまで好みの問題なので、新しい味を探求したい場合はハイローストで入れてみるのも面白いかもしれません。
ハイローストの美味しい入れ方
ペーパードリップでコーヒーを入れる場合、焙煎度合いに関わらず豆の挽き具合は中細挽きが適しています。
挽き具合が粗すぎると粉のすき間をお湯が通過するだけで薄いコーヒーになり、細すぎるとお湯の通り道が詰まって「過抽出」の状態になりやすく、結果的に渋みが出やすくなります。
コーヒーの濃さは抽出時間とお湯の温度、粉の粒度で調節できます。
ハイローストは、コーヒー豆の組織が焙煎によって壊されずに残っているので、蒸らし時間を20秒取るとコーヒーの粒の中にお湯を浸透させることができ、味が出やすくなります。
また、お湯の温度を90℃前後に設定すると、成分が溶けやすく、特に苦味をしっかりと抽出できます。
蒸らし時間を含め、2分~2分半でカップ1杯分150mlを抽出すると渋みのない飲みやすいコーヒーになります。
ハイローストとシティローストの味の違いを比較・検証
▲豆、コーヒーの温度、抽出条件を揃えて焙煎度合い別に味の違いを比較・検証
異なる2つの焙煎度合い「ハイロースト」と「シティロースト」で味がどう違うのか?実際に飲み比べて比較、検証してみました。
ハイローストは果実味のあるフルーティーな酸味と蜂蜜のような甘みが感じられます。「爽やかな味わい」「華やかな味わい」という表現が適切に思えました。
一方シティローストは酸味が控えめで優しい苦味があります。ほどよい酸味が味全体を上品に仕上げている印象で、爽やかさも感じられますが、シティローストの方が親しみのある味わいでクセがなく、飲みやすい印象を受けました。
後味もハイローストよりシティローストの方がすっきりとキレが良く、しつこさを感じません。
甘みはハイローストの方が強く感じられました。味わいが豊かな分、キレの良さはシティローストに軍配が上がります。
好みにもよりますが、 万人受けしそうな飲みやすいコーヒーはシティローストだと感じました。
シティローストの特徴や、味のレビューはこちらをご覧ください。
ハイローストに合うコーヒー豆の種類は?
グァテマラ
「ウォッシュド」という水洗式の精製方法で作られるグァテマラのコーヒー豆は、雑味が少なくクリアな味わいが特徴です。
ハイローストでもコクがきちんと感じられ、バランスの取れた中に花のような香りとオレンジを思わせる甘酸っぱさが際立ちます。苦味はマイルドでチョコレートのような甘みが強く、後味まで明るい印象が続きます。
エレガントなアンティグア産、果実味が際立つコバン産、濃厚なチョコレート風味のニューオリエンテ産など、産地によって異なる特徴がわかりやすいのもハイローストの良さと言えます。
ブラジル
ブラジル産の豆は苦味と酸味のバランスがよく、派手な香りや際立った風味はありませんが、落ち着いたコクがあり、飽きの来ない味わいです。
喫茶店で銘柄を指定せずに提供されているコーヒーの多くはブラジル産で、バランスの良さを生かしてシティローストで焙煎されることが多いです。
ハイローストにするとフルーツのような甘い酸味と、さとうきびのような優しい甘さが感じられます。
苦みは少なく、後味はすっきりして飲みやすく、ハイローストでもバランスのよい味わいが楽しめます。
キリマンジャロ
キリマンジャロは柑橘系のような強い酸味が持ち味の銘柄です。ハイローストにすると、この特徴が強調され、グレープフルーツのような爽やかな酸味が楽しめます。
キリマンジャロは元々豊かなコクもあるので、ハイローストでもしっかりとコクが感じられます。のど越しもよく後味まで爽やかさが続き、蜂蜜のような甘い香りも感じられます。
ただし酸味が苦手な場合は、フルシティローストぐらいの深めの焙煎で酸味を抑えたほうが飲みやすくなるでしょう。
マンデリン
どっしりしたコクと大地のような風味が特徴のマンデリンは深煎りにするのが一般的で、酸味が少ないイメージをお持ちかもしれません。
しかし、マンデリンは酸味を豊富に含み、ハイローストにすることでフルーツのような甘酸っぱさと、ハーブのようなスパイス感が味わえます。やや個性的な味わいなので好みが分かれるかもしれません。
コロンビア
香り豊かなコロンビアのコーヒー産地は北部・中部・南部に分かれていて、産地によって味わいが異なります。
サンタンデールなど北部のコーヒーは深いコクでチョコレートやナッツの風味を感じやすく、アンティオキアなど中部のコーヒーはほどよいコクと果実味、ウィラ、カウカなど南部のコーヒーは軽いコクでレモンなど柑橘系の爽やかな風味が特徴です。
特に南部のコーヒーは良質な酸味とフルーティーな甘みを多く含み、ハイローストにすることでマイルドな苦味とのバランスがとれた上質な味わいが楽しめます。
ゲイシャ
ゲイシャはエチオピア産とパナマ産が代表的ですが、味わいの素晴らしさと反比例して、病気にかかりやすいため栽培には手間がかかり希少な豆です。
酸味と甘味が強く苦味が少ないため、浅煎り~中煎りで焙煎されることが一般的で、ハイローストと相性が良い銘柄です。
ジャスミンにも例えられる花のような香りが特徴で、口の中で広がる甘みと明るい酸味は温州ミカンやマンゴーを思わせます。
コクもしっかりしていて、後味まで柑橘系の甘酸っぱさが爽やかに残ります。
ブルーマウンテン
クリーミーなコクが特徴のブルーマウンテンはハイローストにとても適しており、心地よい甘みと明るい酸味もほどよく感じられ、軽やかな味わいが楽しめます。
ブルーマウンテンは、欧米では実はあまり知名度のない銘柄ですが、日本では高級品として扱われます。
欧米でそれほど評価されていないのは、酸味もコクも控えめなことが物足りないとされているためですが、日本では逆にマイルドで飲みやすいコーヒーとして人気が出たという背景があります。
モカ
モカの特徴は力強さと上質な酸味や完熟した果物のような香りにありますが、ハイローストにするとその個性がバランスよく引き出されます。
エチオピア産のモカシダモ、モカハラーはシトラスやベリーに例えられる甘酸っぱくフルーティーな香りが漂い、イエメン産のモカマタリはワインのような芳醇さが引き立ちます。
あわせてチョコレートのような甘みの余韻も感じられて気品ある味わいが楽しめます。
ハイローストのおすすめコーヒー豆3選
1.パナマ オーロラ ゲイシャ ナチュラル ハイロースト
価格 | 3,300円 |
内容量 | 100g |
1杯あたり(10g) | 330円 |
豆の産地 | チキリ ボルカン地区 オーロラ農園 |
精製方法 | ナチュラル(乾式) |
豆の品種 | ゲイシャ |
焙煎度合い | 中煎り(ハイ) |
パナマ産ゲイシャの風味特性がハイローストで存分に引き出されていて、果実感と華やかさがはっきりと感じられます。
花のような複雑な香りが漂い、グレープやピーチのような酸味とトロピカルフルーツの甘みが後味まで続きます。
生産者のオーロラ農園は標高1500~1700m、年間降水量が3500mmというコーヒー栽培に最適な場所に位置しています。
敷地の半分以上を熱帯雨林のまま保全してあり、土壌の栄養・気候・日照条件などを検証しながらコーヒーの収穫量と環境のバランスを考えた生産を行っています。
2.モカブレンド&キリマンジャロ 各100g お試しセット
価格 | 1,280円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 640円 |
1杯あたり(10g) | 64円 |
豆の産地 | エチオピア、コロンビア、ブラジル、タンザニア |
精製方法 | 記載なし |
豆の品種 | 記載なし |
焙煎度合い | キリマンジャロ:中煎り(ハイ)モカ:中煎り(ミディアム・シティ) |
キリマンジャロとモカブレンドが各100gずつ入ったお得なお試しセットです。キリマンジャロはややシティローストに近い深めのハイローストで酸味が控えめです。
モカブレンドはハイローストのモカ40%に、シティローストのコロンビアスプレモ(コロンビアで最高等級の豆)とミディアムローストのブラジルサントスをブレンドしています。モカクイーンの上品な甘い香りにスプレモとサントスのコク・苦みが適度に加わっています。
どちらも香りを十分に残しつつ酸味が強すぎないような配慮があり、酸味が苦手でも飲みやすいコーヒー豆です。
3.ブラジル トミオフクダ ドライオンツリー 200g
価格 | 1200円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 600円 |
1杯あたり(10g) | 60円 |
豆の産地 | ブラジルミナスジェライス州セラード地区 ファゼンダ・バウ農園 |
精製方法 | ドライオンツリー |
豆の品種 | ムンドノーボ |
焙煎度合い | 中煎り(ハイ) |
タリーズコーヒーと連携してコーヒーを栽培していることでも知られる「ブラジル ファゼンダ バウ農園」のコーヒー豆です。
この農園のコーヒーは砂糖を入れたような甘みが特徴ですが、この豆は「ドライオンツリー」と呼ばれる製法で栽培された特に甘い銘柄です。
ブラジルの日系2世であるトミオフクダ氏が日本の消費者向けに限定生産したもので、通常の完熟を超えた強い甘みが後味まで感じられます。甘みを活かすために80~85℃のお湯で抽出するのがおすすめです。
通常、コーヒー豆は収穫後に果肉をはがしてから乾燥させますが、このコーヒーは樹の上で果肉がついたまま完全に乾燥させ、そのまま木製の貯蔵庫で45日間熟成させています。
非常に手間暇のかかる製法で作られている分、濃厚なコクと甘みがあり、酸味もほどよくて飲みやすいです。
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